Aberdare N.P. アバーディア国立公園


 アバーディア国立公園はナイロビから比較的近く、ニエリの町の郊外に位置します。ニエリはかつてホワイト・ハイランドと呼ばれる白人の入植地の一つで、穏和で住みやすく、今でもお茶やコーヒーが栽培されています。

公園には Treetops (Outspun Hotel が基点)と The Ark (Aberdare Country Club が基点、「方舟」の意)という個性的なロッジがあって、どちらも人気があります。個人的には Treetops の方が好きです。

 また、公園にはケニアで第三番目の高度を持つ Ol Donyo Lesatima (4,001m)や水量の豊かな滝が幾つもあります。ニジマス釣りの出来る川とFishing Lodgesが用意されています。動物は深い森のため殆ど見えませんが、これらのロッジではまかれた塩と水を求めて動物たちが、夜集まります。この森にはボンゴというレイヨウがいますが、肉食動物の餌食になりやすいので個体数が極めて少なく、見れるのはごくごく希だそうです。このため、ライオンを捕獲して、他の公園(ナクル)へ移すことをしています。

 私と家族の者たちは何度も訪れました。以下の旅行記は1994年1月のものです。



 朝9時すぎにナイロビを出て、ティカ Thika を通りニエリの町まで約150kmを2時間でした。途中の舗装道路は快適に走れます(が、2000年3月現在、ニエリの町の手前数kmが未舗装のラフロードと化しています)。11時過ぎにニエリ郊外のアウトスパン・ホテル Outspun Hotel に着いてビュッフェ・スタイルの昼食をとりました。

 夕方にかけてマウント・ケニアがその姿をくっきり現し、写真を何枚も撮りました。日本では正月三が日ですが、クリスマス・ホリデーも過ぎているためか泊まり客は我々のグループの他にはたった一グループだけでした。

 翌日8時過ぎに知人三人でアバーディア国立公園内の最高峰レサチマ4,001mに登るために出かけました。ホテルには前日よりランチ・ボックス(弁当)を用意しておくように頼んでおきましたから、それと簡単な登山用具をリュックに詰めていざ出発です。

 アバーディアはもう何度も来ているので慣れたものです。ホテルのフロントの話では最も北に位置するワンデレ・ゲート Wandere gate 2,640mに行けばレンジャーが雇える筈でした。ところが、そこにはたった一人のレンジャーしかおらず、しかも彼はその山には登ったことがないのでした。ご存じかと思いますが、国立公園内で車から降りて歩ける所は限られています。アンボセリのオブザベーション・ヒルみたいに開けている処ならばレンジャーを雇う必要はないのですが、ロンゴノットでは野性動物と盗賊から身を守るためにレンジャーは必要です。ここもやはりレンジャーは必要なのです。

 ただ、そこのゲートから50kmも離れたキアンドンゴロノ・ゲート Kiandongoro gate 3,040mまで行けばレンジャーがいると言われて、しかたなく公園内を縦走することになりました。

 途中、ぬかるんだところが何箇所もあって、『さすが四駆』の声が漏れました。次のゲート迄たどり着いたときにはもう10時半を回っており、あえなく今回は登山を諦めてレンジャーを雇って(200シル)滝巡りをする羽目になりました。

 他のサバンナの国立公園・保護区とは違って、アバーディア国立公園はマウント・ケニアと同じく、森林と高度3,000mを越える森林限界の草原とから成るケニアでは特殊な国立公園です。そこの植生はキリマンジャロやマウント・ケニアの中腹で見られるものと似ています。氷河期が終わって、冷涼な気候を好む植物が、気候の温暖化に伴い高い山にだけ取り残されたものです。

 雨が多く森林があるため、川の水量も豊富で、日本の川の様に透明で身を切る程冷たいのです。最大の滝は落差が100m以上あって、上からのぞきこむと思わず足がすくみます。この滝(Karuru Falls)は映画 Out of Africa の飛行機でケニアの名所を巡る一シーンも取り入れられています。ここには4つの大きな滝があります。

 レンジャーに100シルのチップを渡し公園を出て、10km位ある竹林の中を抜ける土道を過ぎてニエリの町に入りかけた時に空はにわかに雨雲に覆われ大粒の雨が降ってきました。しかも小さな雹混じりでした。

 その晩は、当初私一人が Treetops に泊まる予定でしたが、折角ここまで来たのだからと言う事で旦那二人と子ども三人を残して、奥様方二人も Treetops に泊まりました。 Treetops と The Ark は6歳以下の子どもは原則的には泊まれません(ただし年2回5月ごろにファミリーデーと称して泊まれる日がありますが、その日を予約するには、ナイロビ在住者でも至難の技だそうです)。ゾウとサイ、それにロッジに住みつく愛嬌のあるブッシュベイビー(原猿類)が見られていい思い出になりました。ブッシュベイビーは夜行性のため昼間のゲームドライブで見ることはありません。彼らはロッジの投光器の明るさに集まってくる昆虫を主食にしています。バリバリと甲虫を噛み砕く音が聞けます。泊まり客が飲み残したコーヒーを飲む強者もいました。




 ニエリの町の郊外、コーヒーお茶の畑が広がる

 Treetopsへの基点のホテル、植民地時代の面影を持つ Outspun Hotel

 The Arkでの夜明け、ケニア山のシルエットがきれい

 Treetopsの外観

 Treetopsでの夕食、和気あいあいと楽しい

 馴れ馴れしいブッシュベイビー

 オートフォーカス・カメラでブッシュベイビーを撮りました

 Treetopsにて、ゾウたちはまかれた塩を舐めに集まる

 Chania Falls

 Magura Falls(通称 Cave Falls)滝の裏から

 Gura Giant Falls



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