Lamu Island ラム島


 ラム島はソマリア国境に近いケニアの最北東に位置します。私たちは1995年の2月18日土曜日から2泊3日でラムに行って来ました。これはその時の旅行記です。


 ナイロビからラム島の対岸の島にあるちっぽけな空港までは520km、20人乗りの双発プロペラ機で1時間45分の旅です。ウイルソン空港を飛び発った飛行機は眼下にジョモ・ケニヤッタ国際空港を見ながら上昇を続け、少々揺れつつ手元の時計に付いた高度計によると高度3,800mで水平飛行に移り、機体を真っ直ぐラム島へ向けました。飛行機には気密装置がないので、乗客は外界の気圧そのものを経験します。ですから地上の6割ほどしかありません。持参した「カッパ・エビセン」の袋がパンパンに膨らんで、良い枕代わりになりました。

 ひと眠りして、ラムの街の対岸のマンダ島に作られた飛行場に着き、タラップを降り立つと湿気を含んだ潮風にむっとします。ホテルからの出迎えの人の案内で桟橋からモーター付きのダウ船に乗り込みました。

 海岸線は実際に初めてマングローブの森で埋め尽くされています。対岸のラムの街まで僅か10分ほどの船旅です。ラムの街は海岸べたに東西に広がっていますが、端から端まで歩いても20分とかからないほどです。海岸通りとそれに平行してあるハランベー・ロードは小商店が並ぶいわゆる「銀座通り」ですが、道は折れ曲がり、道幅も広いところでも3m位、狭いところは1mほどです。ラムは迷路の街です。

 この街には自動車が許可されていないのです。ただ1台のゴミ収集トラクターが走っているだけなのです。他にはリヤカーとロバが輸送手段です。いたるところで見かけるロバ達は、実にだらしなくのっそりとしているます。ゴミあさりはもっぱらロバ達の仕事です。  ラムの街はアラブの商人がもたらしたスワヒリ(「海岸」の意)文化を未だに色濃く残しています。回教徒が殆どのこの街には小さなモスクがいたるところにあります。折しも回教徒にとって大切なラマダン「断食」の月です。この期間の回教徒達は日の出から日没まで一切の飲食どころか、性交や唾を飲み込むことすら禁止されていると聞きます。ですからラマダン中の回教徒達は昼間は「塩をかけた菜っぱ」同様です。ですが、日没とともに街は賑やかになり、夜遅くまで、まるで夜祭りの騒ぎです。ラムは女性が夜一人歩きしても安全な街でもあります。

 2つある博物館の入場料はレジデント(ケニア在住者)はたったの10シル(当時20円)でした。1月から6月まではシーズン・オフでホテルもがら空きでした。30部屋位ある我々の泊まったラム・パレス・ホテルのその日の泊まり客は、我々を含めて、たったの3名。気の利くスイス出身の白人のオーナーはツインの予約をシングル2部屋にタダで替えてくれました。比較的新しいそのホテルにはエアコンもあり、快適に眠れました。


 翌日19日は同じラム島東端の岬のシェラと言う村のアイランド・ホテルに午前中に船で移りました。20分ほどの船旅でした。そこで小型のダウを一人500シルで借り、魚釣りをすることにしました。私は4時間の釣りで鯛の仲間を10匹ぐらい釣り上げ久々の海釣りと釣果に大満足。この時期は貿易風が強く、結構波があって、同行のIさんは船酔いで1匹目を釣ったところでダウン。彼には悪いことをしました。私が釣った大きめの2匹と、これも大きめのカワハギ1匹をホテルに持ち帰り、早速台所を借りてさばきました。大皿一杯の新鮮な鯛とカワハギの刺身と吸物を、持参した醤油とワサビで腹一杯食べました。満腹感と釣りの疲れで午後4時から8時まで遅い昼寝をしました。

 夕食をとって夜空を見ると満点の星空。ケニア山で見た星空ほどではありませんでしたが。くっきりとオリオン星座が見えるから、やはり熱帯のこの地でも「冬」の星座です。心地よい海風が吹いていました。この日は高曇りでしたがむき出しの足は日焼けして、その後何日間もヒリヒリしていました。


 翌20日はラムに戻りエンジン付きの船を貸し切ってラム島の西側にある村マトンドーニを訪れました。ラム島を取り巻くマングローブの森に沿って船で小一時間の旅でした。村内を案内してもらい彼らの日常生活を垣間見る事が出来ました。ここも子沢山で、子供たちは明るく、盛んに「ジャンボ」と声をかけてきます。小中学校が1つあるだけです。この村は代々ダウ船を建造・修理してきました。ダウ船は10年ほど経つと水に浸かった部分の木を取り替えなければならないそうです。昔からの素朴な生活がここではなみなみと続けられているのでした。子供達の本当に輝いている目はこの旅で最も印象的でした。

 空から見たラム島のマングローブ

 海から見たラムの街

 ラバが車代わり

 ハランベー通り

 子供も大人もゲームに熱中

 ダウ船

 マトンドーニの船着き場、子供達が飛び込んでいる

 シェラ・アイランド・ホテルの屋上から

 子供達の遊び、時に大人達もしている 

 シマダイ?強い引きで大満足



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